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善波社長ブログ「居酒屋日記② 猫年考」

皆様、明けましておめでとうございます。本年も、酒の善波のブログコーナーをよろしくお願いいたします。寅年というのは、新たな始まりと成長の年だそうですね。十二支といえば、私は若い頃、年末年始を迎える度に抱いていた疑問がありました。それは、なぜあれほど身近な生き物である猫が、十二支には含まれていないのかということだったのですが、その疑問に、自分なりの結論を出すきっかけとなったのは、私が居酒屋を始めて最初の春の終わりの、ある出来事のためでした。

「マスター、なんで店の戸のそっち側ちょっと開いてんの?」
「ここから猫が顔出すんですよ。刺身の残りをやったら、通うようになっちゃって。」
「へぇ。俺もやってみたいな。猫、好きなんだよ。来たら店に入れてやれよ。」
「野良猫ですよ。用心して入ってきませんよ。」
そんな会話から、どうせ暇な店なのだから、野良猫でもいいから常連にすれば、猫も通う名物居酒屋として売り出せるのではという事になり、私はその日から「Y」のカウンターに猫を座らせるための工作を始めることにしました。閑古鳥が鳴く居酒屋の店主がすべき努力は、絶対にそんなことではないはずなのですが、貧すれば鈍するということでしょうか。それまで箸で抓んで勝手口の外に落として与えていた刺身を、開けた引き戸の少し内側に置いてやると、猫はしばらく躊躇してから、前足だけを店内に伸ばし、刺身を手繰り寄せて咥えると姿を消しました。次の日にはそこから10cmほど扉から奥に、その次は20cm奥にと、刺身を置く場所をずらすにつれ、猫は上半身まで店内に入り、直接口で咥えてゆくようになり、さらに10日も経つと、猫は忍び足ながら完全に店内に入って刺身を持ち帰るようになり、私はプロジェクトの進行ぶりを常連に報告しました。
「この一週間、あの猫が一番の常連ですよ。ただ、テイクアウト専門です。店内で食べてもらうにはどうしたらいいでしょうね。」
酔っ払い達と議論して出た結論は、猫が店に入った時に扉を閉めれば仕方なく滞在するだろうから、その時に皆で旨いものを沢山食べさせてやり、店に留まった方が良いことを学ばせるというものでした。決行日を翌週の水曜に決めて、数少ない他の常連にも協力を呼びかけると、当日は珍しく早い時間からカウンターに4~5人の顔が並び、私は(もう猫のご利益が出ている。これであいつがカウンターに座るようになったら、うちも有名店の仲間入りかもな。)と、ほくそ笑みつつ猫を待ちました。
猫の来店時間は、いつもなら10時頃でしたが、なぜかその日はなかなか現れず、酔いが回りすぎた常連達が、もう帰ろうかと口にし始めた11時半頃、ようやく開けっ放しの勝手口に猫が顔を出しました。そして、いつになく賑やかな店内に少し戸惑いながらも、そろそろと刺身を目指して歩を進めた猫が、刺身を咥えようとしたその時、私は彼に警戒されぬようカウンターの中に身を置いたまま、逆さに持った箒の柄で引き戸をそっと押して戸を閉めました。戸が完全に閉まり、固唾を飲んで見守っていた常連の一人が小さい声で「よし!」と呟くと、猫は異変に気付き、振り返って閉じた戸を、次に私の顔を睨みました。猫と目が合い、良心の呵責を感じたのもつかの間、次の瞬間、猫は猛然と、まるで四本の脚がホイールスピンするかのように店の正面玄関に向かって駆けだしたのです。正面の扉が、猫がぶつかったとは思えない大きな音を立て、跳ね返るようにカウンターに飛び乗った猫は、並んだ料理や酒を客の服や床へと蹴散らしながら疾走し、驚いたことに店の壁を垂直に天井まで駆け昇りました。さらに常連の頭の上に落ちてきて猫キックで彼のメガネを破壊すると、その後も竜巻のような勢いで、店内を縦横無尽に荒れ狂いました。猫を手懐けるつもりで集まった常連たちはそれぞれ座布団を頭にかぶったり、トイレに逃げ込もうとして転んだり、椅子から転げ落ちたまま腰を抜かしたりと、パニックに陥っています。「マスター!もうダメだ!早くこいつを店から出して!」常連の叫びで我に返った私が、慌てて勝手口の戸を開けると、猫は大虎5人を蹂躙した勢いそのままに、つむじ風のように夜の住宅街へと一瞬で姿を消しました。走り去る猫の剣幕に驚いたのか、猫が消えていった方角から女性の小さな悲鳴が聞こえてきました。後日、その場にいなかった客に、猫が天井まで走り上ったという話をすると信じ難い顔をしましたが、私が指さした天井近くの壁についた猫の爪痕を見て納得していました。その後、猫は二度と店に顔を出さず、けれど彼がつけた壁の傷は、今も店の小あがりの窓の上に残っています。

世に猫好きは多く、私も行き掛かりで飼っていたことがあります。いつも家の一番快適な場所を見つけては丸くなる。家では擦り寄ってくるのに、外出先で逢うと知らん顔をする。動いている物にすぐ飛びかかる。見た目可愛いが、鋭い爪で引っ掻かれると痛い。気分屋。さかりがついた時の声で町内中に迷惑をかける…。あの日、店を滅茶苦茶にされたから言うわけではなく、猫の特性は、悉く人間社会の道徳に反しています。猫好きはそこがまた可愛いということなのでしょうが、猫年には何かとんでもなくよからぬ事が起きそうだと思ってしまうのは私だけでしょうか。
昔、神様が十二支を決める為、動物たちに召集をかけたが、鼠の嘘のせいで元旦に集まれなかった猫は十二支に入れてもらえず、それ以来鼠を見ると追いかけるようになった。これは日本だけに伝わる話だそうですが、私はあの日の猫の、文楽人形のような豹変後の、手に負えなさを見た後では、たとえ猫が元旦に馳せ参じても、神様はこの魔性の生き物を十二支に入れなかったのではという気がしてきました。考えてみれば、人を化かす狐も狸も入っていませんし。やはり昔の人は、十二支という一年を象徴する生き物を決めるにあたり、生き様が人間社会の道徳と相いれない特性の生き物は、相応しくないと判断したのではないでしょうか。

年明け、久しぶりのブログ更新は、居酒屋時代の思い出からネタを引っ張ってみました。そんな本日のおすすめは、あの日、野良猫にコテンパンにされた常連達が飲んでいた焼酎、「いいちこ」と「金宮」です。「下町のナポレオン」として、実は世界で一番売れているスピリッツだった「いいちこ」シリーズと、ホッピーやハイサワーのベストパートナーとして、甲類焼酎としては類いまれなステイタスを確立した「金宮」。どちらもお手軽な価格ですが、上質で飲み飽きしない、家飲みにも最適なお酒です。猫に蹴散らされても安心な紙パック入りもご用意しております!

いいちこ 麦 25°

いいちこ 麦 25° 1800ml(瓶) / 1800ml(パック) / 900ml(瓶)

金宮 キンミヤ 25° 1800ml(瓶) 1800ml(パック) 900ml(瓶) 720ml(瓶) 600ml(瓶)

金宮 キンミヤ 25° 1800ml(瓶) 1800ml(パック) 900ml(瓶) 720ml(瓶) 600ml(瓶)


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代表/善波栄治

1953年に、初代・善波秀吉が麻布十番にて創業。以来、本社を東麻布に移し、東京23区を中心に飲食店様への配送やお酒の小売りを行っている。

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